2005 | 2002 | 1997 | 1995
* 週刊・女性自身 掲載 連載<対談>第205回
家田 荘子の『私にだけ聞かせて!』
大宅賞作家が”話題のあの人”を直撃
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『JFK』『バットマン フォーエバー』『ボルケーノ』そして『メン・イン・ブラック』。
ヒット映画に次々と出演している名優ジョーンズさん。”世界一多忙な俳優”
のミステリアスな素顔は・・・
家田 ジョーンズさんの作品の中で『ボルケーノ』や『沈黙の戦艦』などは
観終わった瞬間に「ワーッ!」という感動を覚えたんですが、今回の『メン・
イン・ブラック』は、観終わって、日が経つごとに愛着がわく映画という感じ
がして、それがとても嬉しかったです。
ジョーンズ(以下J) 嬉しいです、褒めていただいて(と、テーブルの上の
テープレコーダーを手に持ってしげしげ眺める)。
家田 ウフフ・・・とても多くの作品に出られていますが、作品ごとに印象が
全く違いますね。役はどういうふうに選ばれるんですか?
J まず、シナリオがいいことですね。シナリオに独創性があるかないか。
監督がいいこと。一緒に共演する俳優達も、魅力ある素晴らしい人たちで
あること。そしてロケ地ですね。リッチなロケ地だと俳優はインスピレーショ
ンを受けることもあるので、その辺も考慮の対象になると思います。それか
らビジネス面で、いい契約かどうかも考えますよ(笑)。
家田 この『メン・イン・ブラック』では、最初、ジョーンズさんの出演は決ま
っていたけれど、監督は決まっていなかったと聞いたんですが、不安はあ
りませんでしたか?
J なかったです。シナリオも完成していませんでしたけどね(笑)。でもアイ
デアが素晴らしかった。こんな素材なら、絶対にいい監督、いい俳優が来る
という予感はありました。そうしたら、なんとスピルバーグが製作総指揮をす
る、と。これでもう絶対だと思いました。
家田 今まで仕事を断られたこともありますか?
J エブリディ(笑)
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家田 ハハハ・・・。この映画では、地球に侵入しているエイリアン
の行動を監視するMIBという秘密機関のメンバー”K”ということで
すが、相手役のウィル・スミスさんがユーモアたっぷりのセリフを
連発するのに対して、ジョーンズさんは淡々と冷静に行動します
ね。このコンビネーションがとてもおかしかったんですけど、ご自
身でも何かアイデアを出されましたか?
J まず、その日の場面の準備をきちんとして、自分の演技を計
算して現場に行きますね。それを監督に言うんですが、ソネンフ
ェルド監督は非常に適切なアドバイスをくれるんです。彼がいつ
も言ったのは「演技をフラットにしろ。表情を出すな」と。コメディ
は、おかしくない表情からおかしさが出るのが正しいあり方であ
って、無理に笑わせようとすると非常にシラけてしまう。だから「演
技を抑えろ」と言われたわけですが、これが実は正しかったと今
はよくわかりました。
家田 ウィルさんとの名コンビぶりは、本当に素敵でした。
J ありがとう。ウィルは大変素晴らしい共演者で、たぶん今の
若い俳優の中で一番面白くて、頭がよくて、心が親切で、優しい
人だと思いますよ。毎日あらゆるセットで、皆を楽しくハッピーな
気分にするということを、献身的にやっていましたね。朝早くから
の撮影でも、皆を楽しませてくれていいムードメーカーでしたし、
素晴らしいリーダーシップを発揮していました。本当に寛大だし、
あれほどのエネルギーと時間を、惜しまずに人に与える人は他
にはいないと思います。
そして、また、ソネンフェルド監督自身も映画は娯楽であり、お
客さんを楽しませるためには自分が楽しまなくてはダメだという
主義でした。彼は撮影をストップしてでも、まず、バカなことを言
って皆を笑わせる。自分がバカに見えてもかまわない。そういう
精神に徹して、それを自ら率先してやっていました。
そういう監督とウィルと私の3人が揃ったんですから、毎日毎日
、笑いとジョークが飛び交う楽しい現場でした。
家田 変な液体で、何度も顔をベチャベチャにされていましたけ
ど、どんなにおいがしてどういう感触でしたか?
J ベチャベチャしてゼリーのような感触で、においはなかったです。 |
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家田 アルマーニのスーツは何着ダメにしたんですか?
J あれはアルマーニではありません。衣装係が作ったものです。
家田 あっ、違うんですか?でも。とてもアルマーニっぽかった
ですよね、へ〜え・・今日のスーツもとてもお似合いですけど、『
JFK』のときのスーツ姿はとても粋でカッコよかったです。スーツ
が似合う体作りのためにトレーニングなどはなさってるんですか?
J いえいえ。私は2つのランチ(牧場)を持っていまして、そっちも
ビジネスなんですね。牛と馬を育てているので、戸外でする仕事
が多いわけです。それで十分エクササイズできるので、特に運動
はしていませんね。
家田 牧場はテキサスですか?
J はい。ひとつはテキサス中央部の丘陵地帯にあって、もうひと
つは380マイル離れた西側にあります。私の人生は、映画以外は
牛と馬を育てることに費やされているんです。いい牛を育てて売る
。ポロに使うサラブレッドを育てて売る。育てるためには、大地が大
切で、牧草も非常に重要ですから、ちゃんといい子が生まれるよう
に、いい牧草も育ててます。
家田 ”とても忙しい男”と言われますが、空いている時間などはあ
るんですか?
J ありません(笑)
家田 (苦笑い)お忙しいなかで、次の作品への充電はどのようにな
さるんですか?
J わかりませんね〜(笑)。忙しく働くことも段取りさえよくすれば可能
なことで、私は決してエネルギー不足だと感じたことはありませんので
ね。人生ずっと働いてきましたし、今もハードワークな人生が好きだか
ら全然苦にならないし、今後も一生懸命働いていきたいと思います。
家田 大学時代はアメフトの選手でいらしたわけですが、そのころから
俳優を目指されていたんですか?ほかの職業は考えませんでしたか?
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やっぱり、名を上げなければ
J 5分間、弁護士になりたいと思ったことはあります(笑)。でも、
昔からお芝居は好きで、映画は楽しい。それがビジネスになった
わけです。
家田 大学卒業と同時にニューヨークのブロードウエーで舞台俳
優になられて、その後ロスに行かれますね。それはなぜですか?
J それはとてもシンプルな理由です。NYでは11本、お芝居をした
。2本の映画に出てCMにも出させていただいた。それでも、ブロー
ドウエーでオーディションを受けると、自分はうまいと思うのに、ほ
かの人に役を持っていかれてしまう。有名な人に役がいってしまう
わけです。それでプロデューサーが「やっぱり、名を上げなければ」
と言うので、ハリウッドに行ったわけです。だから、なぜ、ハリウッドに
行ったかの答えは「ブロードウエーでいい役をもらうために有名にな
りたかった」ですね。
確かにそのとおり、今は有名になりました。ところが、ブロードウエ
ーに戻る余裕がないんです(笑)
家田 確かに(笑)。ハリウッドに行かれたころ、今のような地位にな
られることを予想していらっしゃいましたか?
J 私は、明日の向こう側はあまり見ないタイプです(笑)。
家田 フフッ。今後、やってみたい役柄などありますか?
J 監督をしたいですね。自分で脚本を書いて、演出して。
家田 プライベートなことはあまりお話にならないと聞いたのですが
・・・?
J そういう評判があるのは、たぶん、私がシャイだからでしょう(笑)。
家田 フフフッ。こんな役がきたというようなお話はご家族となさるん
ですか?
J あんまり言いません。でも、子供とはよく話します。息子は15才な
んですが、最近のアメリカ映画のターゲットは、まさに息子たちの年
代なんです。だから、彼に、今、何がカッコいいか、カッコよくないか、
それはなぜかということを聞けば全部わかる。しかも彼なりのちゃん
とした視点ももっているから、とてもプラスになるんです。6才の娘も、
とても意見がしっかりしています。だから、子供たちとはよく話しますよ。
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息子には映画を観る目がある
家田 『バットマン フォーエバー』のときの役は息子さんに相談したら
「やってごらんよ」と、言われたそうですね。
J はい。「カッコいいよ」と言っていました。「サントラはゴチャゴチャして
いてよくなかった」とも言っていましたが、確かにそのとおりです。編集に
もちょっと文句を言っていたな(笑)。彼は生後10日でセットに来たことが
あるぐらい、セットのなかで育ちましたから、映画を観る目があるんです。
家田 今回の映画の息子さんの評価はどうでしたか?
J 息子は15才ですから父親がクール(カッコいい)であるよりも、自分が
クールでありたい、ヒップガイと言われたいわけですね。だから、あんまり
、お父さんがカッコいいとは言わない。でも「友達が『メン・イン・ブラック』は
面白かった」と言うと、それが自分の父だという誇りを隠せない様子ではあ
りますね。
家田 ウフフ。奥さまのご感想なども聞かせていただけませんか?
J 妻はいません。だから、どういう感想を持っているのかわかりません(笑)。
家田 確かに(笑)。お子さんたちは俳優を目指していらっしゃいますか?
J 息子はかなり興味がある。娘は、6才ですがまぁ、6才というのは、誰でも
お芝居がうまいじゃないですか。でも親バカかもしれませんが、頭がよくて才
能があるから・・・(笑)。まぁ、どうなるかはわかりませんが。
家田 撮影などで離れているときは、どうやってコミュニケーションを取って
いっらっしゃるんですか?
J もちろん電話で話します。昨年の夏はシカゴとケンタッキーで映画を撮っ
たんですが、夏休みに2週間そこまで来てくれて。ただ、映画に入ると家族が
離れがちになりますね。あまりいいことではないですね。
家田 でも、ご一緒にいられるときは、お子さんをいっぱい可愛がられるん
ですね。
J ハウスボートを借りたりして、とにかく楽しみます。15才と6才の子供だけ
れど、いい友達だから、一緒に楽しめますね。
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− 今週の対談を終えて −
シブくて、あったまいいーという印象どおり。でも、とっても可愛いひとです。コースターで遊んでみたり、
私のマル秘メモを一生懸命、覗こうとしたり・・・。『メン・イン・ブラック』も、クールで、おチャメな映画です。
まだ観てない人は、ぜひ急いでください。心が、あったかくなります。
(注:Men In Blackの画像は本文とは関係ありません。)
記事ご提供 : Travisさん
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